サステナブルピープル Vol.3
井筒屋グループは、企業の社会的責任を果たすべく、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献し、人々の豊かな未来と持続可能な(サステナブル)社会の実現を目指してまいります。
本企画では、人と地域をつなぎ、豊かな未来を創造していくために、さまざまな業界のフロントランナーたちのお話を伺います。
未来産業推進部 スタートアップ推進課長
吉田 智子さん
Tomoko Yoshida
第3回目は昨年、市制60周年を迎えた北九州市で、数年にわたりさまざまな事業を手がけてきた吉田智子さん。
井筒屋とはシティープロモーションの一環として、韓国のD J・Night Tempo(ナイトテンポ)氏のLIVEを井筒屋のパステルホールで実施する際、協働して取り組んだことでご縁をいただきました。2023年10月に開催されたLIVEは大盛況で、若者をはじめ多くの世代の方に、北九州市への愛着と誇り(シビックプライド)を浸透させるお手伝いができたのではないかと思っています。今回は吉田さんの印象に残っている事業や、現在携わっている業務などについてお話をうかがいました。
・・・これまで様々な部署で、北九州市のイメージアップに尽力されてきたと思うのですが、市制60周年の時はどのような事業を行ったのですか?
中でも、市という単位では初発行となる『地球の歩き方 北九州市』が市制60周年を機に発行されるというのは、全国の方に北九州市の魅力を知っていただく大きな機会となりました。発売2か月で7万部発行という記録を達成したのですが、これは国内シリーズの累計販売部数で1位だそうです。しかも購入者の内訳は、意外にも北九州市民の方が多いようです。
ということは、北九州の人って謙遜して「北九州には魅力的な場所がない」と言ったりすることがあるみたいなんですが、本当は自分たちの生まれ育った町が大好きなんだなって(笑)。北九州の良さを『地球の歩き方』に肯定してもらって、「やっぱり北九州に住んでいてよかった」と感じていただいたことが、発行部数に表れているのではないかと思います。
J R小倉駅南口の階段に施された
『地球の歩き方 北九州市』の大型広告
・・・井筒屋とは、韓国の人気DJ・Night Tempo氏のL I V Eを行うために、協働で取り組ませていただきました。井筒屋が開催地に選ばれた理由とは?
2022年の福岡でのLIVE前に、門司港レトロや旦過市場などを訪れたとき、昭和の街並みが残る北九州を大変気に入ってくださいました。特に井筒屋さんの建物や屋上に惹かれ、「ここで絶対LIVEがしたい!」と熱望されたのがきっかけです。
クロスFMの公開録音
井筒屋屋上にて
小倉井筒屋新館9階パステルホールで実施された
「The Night Tempo Show -Neo Standard」。
そこで改めて北九州市の街並みを見渡したとき、懐かしさと新しさが融合した風景が、我がまちの魅力なんだと気づくことができました。
・・・2024年の春からは「スタートアップ推進課」に異動されました。現在の業務について教えてください。
「日本一起業家に優しいまち」を目指して、さまざまな創業支援を行なっています。取材でお越しいただいた、コワーキングスペース「COMPASS小倉」(コンパス)は、本市のスタートアップ企業の創出や創業支援における中核施設という位置づけです。
企業によってビジネスを展開する上で重要視する条件は異なると思うのですが、例えば、北九州市には理工系の大学やものづくりの企業が多いという特長があります。優れた技術を持つ市内企業との協業や大学との連携、それによるイノベーションが生まれやすい環境や、実証を行いやすい環境があるのが強みです。
グローバルに存在感を示している地元の企業が市内には多々ありますが、創業当時はスタートアップとも言える存在だったと思うんです。将来的には、北九州を代表する企業になるようなスタートアップが生まれるよう、支援ができればいいなと思っています。その過程で、地域や行政の課題をスタートアップ企業と共に、みんなで解決していけるような仕組みづくりも検討しているところです。さらに、海外展開を視野に入れたサポート体制もつくっています。
・・・市が掲げる「稼げるまち」を実現させるための部署で、今後の活躍が期待されている吉田さんですが、なぜ公務員という仕事を選んだのですか?
実は私、大学を卒業後、社会福祉法人に就職したのですが辞めまして。その後は1年半ほど中国で語学の勉強と日本企業のお手伝いをしていました。このまま中国で働くか、それとも日本に帰国しようか、など今後の進路を考えているとき、北九州市の職員採用が割と採用年齢の幅が広く、2次試験は中国語でも受けられることを知りました。「今、自分がやっていることを試せそうだな」と思い、採用試験を受けたのがきっかけです。
そもそも「地元のために何かができる」という仕事が、単純にいいなと思ったんです。中国留学中に、初めて会う日本人と話すとき、出身を聞かれて私が「北九州市」と言っても知らない人が多かったり、知っていてもイメージが悪かったり(笑)。自分が生まれ育った北九州市のイメージを、少しでも良くできたらいいな、という気持ちは当時からあったのかもしれません」。
・・・続けて個人的な話になりますが、吉田さんは昨年、大学に通ったとお聞きしました。
そうなんです。北九州市立大学に創設された、社会人のための教育プログラム「i-Designコミュニティカレッジ」の「こころの科学(心理学)」を受講しました。よく理由を聞かれるのですが、学生時代から心理学に興味があり、純粋に“勉強したい!”と思ったのが理由です。
きっかけはお正月に、何か新しいことやりたいなと思って市政だよりを見ていたら、「i-Designコミュニティカレッジ」の情報をたまたま見つけて。説明会に行き、「もうこれ絶対に行こう!」と決めて通い始めました。
私が通ったコースは週1回、18時から21時過ぎまで授業があり、1年間受講しました。課題の提出や試験もあり、仕事との両立は少し大変でしたが、社会人は目的意識があって学びにきているから、とてもアグレッシブ。最近は働き方改革やDXの推進に伴って、リスキリングやリカレントが注目されていますが、そういう視点で学びにきている現役世代の方も実際にいらっしゃいましたよ。
講義中の風景
大人になって勉強するのは楽しいなと改めて思いましたし、職場の仲間が協力してくれたおかげで大学に通えたので、とてもありがたかったです。学び始めた動機は純粋な興味からですが、今回学んだことを、職場や仕事でも活かせたらいいのかなと思います。
学ぶことで自分を変える(Designする)大人のための大学
北九州市立大学「i-Designコミュニティカレッジ」
https://www.kitakyu-u.ac.jp/contribution/i-design-community.html
・・・最後に、ご登場いただいた方に同じ質問をさせていただいているのですが、吉田さんが考える「サステナブル」について教えてください。
正直、特に意識はしていないのですが、とある企業様との会話の中で「持続するためには進んで変化していかなければならない」とおっしゃっているのを聞いたことがあります。これを自分自身に置き換えると、「もう年だから」と思うのではなく、新しいことや変化を取り入れ、楽しむことが自分自身のサステナブルにつながり、そうなることで社会にも少なからず還元できることがあるのではないかと思います。
・・・吉田さんが「こころの科学」を学ばれたことも、まさに自分自身のサステナブルにつながりそうですね。今日はとても興味深いお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。
【サステナブルピープル】
サステナブルを遠い存在と思わず「無理せずできることから」
〜(株)小倉縞縞 代表取締役 渡部英子さん〜
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