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公開日:2025.2.17

【サステナブルピープルVol.6】みんなで協力しながら、小倉の街に賑わいを〜 小倉中央商業連合会理事長・瀬口裕章さん、小倉城竹あかり実行委員長・辻利之さん

サステナブルピープル Vol.6

井筒屋グループは、企業の社会的責任を果たすべく、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献し、人々の豊かな未来と持続可能な(サステナブル)社会の実現を目指してまいります。本企画では、人と地域をつなぎ、豊かな未来を創造していくために、さまざまな業界のフロントランナーたちのお話を伺います。

井筒屋は今年、創業90周年を迎えました。今後も小倉で新しい歴史を作っていくためには、近隣の商店街や市場などと手を携え、賑わい創出のために力を合わせることが大切だと考えます。そこで今回は、小倉の“まちづくり”を語る上で欠かせないお二人にご登場いただき、“まちづくり”に対する思いや今後の展望について、対談形式でお話しいただきました。

辻利之さん:創業1860年(万延元年)京都宇治の辻利本店から、1923年九州支店として小倉に開業した「辻利茶舗」の店主(小倉では3代目)。創業102年を迎え、店舗は小倉に3店舗、カナダ、イギリスなど海外9カ国に展開している。小倉城竹あかり実行委員長、WeLove小倉協議会会長、京町銀天街協同組合理事長として街づくりに参画中。

瀬口裕章さん:創業102年を迎える老舗呉服店「ゑり福」の代表取締役社長。3代目として店の暖簾を守るだけでなく、中心市街地の経済・文化の発展のために汗を流している。魚町商店街振興組合の理事長や福岡県中小企業団体中央会の副会長を歴任。現在は小倉中央商業連合会の理事長を務める。

・・・現在取り組まれている活動内容についてお聞かせください。まずは辻さんからお願いします。

辻さん「京町通りは、江戸時代には参勤交代の往還路、長崎街道の起点として伊能忠敬やシーボルトなどに縁があり、森鴎外や杉田久女、松本清張などの文学者も親しんだ町です。
賑わいづくりの一環で、川柳や干支の巨大ペーパークラフトをアーケードに飾るなど、文化的な催事を行なっています。7〜8年前に京町の人達と協力し、京町常盤橋の袂で竹のイベント「千の灯り」を行っていたのですが、そのとき「この竹あかり”を小倉城を中心とした町の観光事業に育てたい」と個人的に考えていました。所属している「We Love小倉協議会」にアイデアを提案し、「小倉城竹あかり実行委員会」を設立。さまざまな方たちにお力添えをいただき、2019年に「第一回小倉城竹あかり」を開催、2024年の秋には6回目を数え、お陰様で北九州市内はもちろん、県外、国外から多くのお客様にご来場いただく程に成長しています」。

小倉城天守閣広場周辺に、3万個の竹灯篭が幻想的な空間を演出します。2024年10月25日〜27日、11月3日〜4日(11月1日、2日は雨で中止)の入場者数は36,400人。「第19回日本夜景遺産」に認定され、「International Illumination Award2024」環境部門優秀賞にも選定されました。

辻さん「使用している竹灯篭は、京都の料亭などでも提供されるタケノコの産地、小倉南区合馬の竹を伐採して作ります。実はこの地区では放置竹林が深刻な問題になっていて、「小倉城竹あかり」では「竹害を竹財に」というテーマのもと、この問題を少しでも解消して参ります。
また、「市民のアイデアや汗で、小倉城を竹のアートに」という思いから、延べ5,000人の市民ボランティアの皆さんで竹灯篭を作り、火を灯す作業など火を灯す作業などにご参加頂き、又実行委員会のメンバーも小倉の街に貢献しようと意気込んでいます」。

・・・去年の12月には北九州市が「日本新三大夜景都市」にランキング1位で認定され、「小倉城竹あかり」も「日本夜景遺産」に認定されました。今後がますます楽しみです。

辻さん「来場者数が100万人を誇る長崎のランタンフェスティバルは、JRや旅行代理店または周辺の観光地とも連携し、一大イベントとして成功しています。“あかりを灯す”イベントとして私達も大変参考になります。現在「小倉城竹あかり」は小倉城周辺で実施していますが、今後は北九州市の他区や関門地区と連携したり、温泉と一緒に楽しんでもらうプランを考えたり、様々検討していこうと思っています。3月には小倉城竹あかりをシンガポールで開催予定です。是非海外から北九州市にお越しいただける様、皆でアイデアを出したいと思います」。

瀬口さん「竹あかりは、辻さんが京町でやっていた頃から見ているし、当時、いずれ小倉城周辺でやりたいと言っていたのも鮮明に覚えています。有言実行して、ここまで大きく育てて本当にすごい。毎回感動しています」。

・・・続いて、瀬口さんの活動について教えてください。

瀬口さん「小倉中央商業連合会(以下、中商連)は、井筒屋さんをはじめとする大型店、商店街、市場、専門店など20の事業体で構成された組織です。加盟店と売場は1,200を超えています。共通の目的としては、やはり“地域の賑わいづくり”を第一に。考えられることは全部やろうという意気込みで、さまざまな事業に取り組んでいます。
参加している店舗や施設は、どうしても場所が離れているし、考え方もまちまちです。でも、店舗を点と捉え、点を繋ぐと線になり、線を繋ぐといずれ面になります。そうした“繋ぐ”という意識を大切にしてお互いに協力すれば、最終的に町はより発展していくと信じて活動しています。

一般論ですけど、百貨店と商店街は競合しあう存在なので、だいたい仲が悪いんですよ(笑)。ですが、井筒屋さんと私たちは大変良好な関係を築いており、いろんな方から「珍しいね」と言われます。私が魚町商店街振興組合の理事をしたときには、すでに仲が良かった。こうした友好関係は、昔から井筒屋さんが率先して“小倉のために”と動いてくれるから。いろんな意味で“太っ腹”なんです。すると他の大型店舗も「みんなでやろう!」と動いてくれます。小倉にある百貨店が井筒屋さんだったから、中商連は九州で最大規模を誇っているのだと思います。これは先輩たちが築き上げてくれた、かけがえのない財産です」。

※画像は昨年実施されたもの。

例えば、私たちの事業のひとつである「小倉にぎわい商品券」。きっかけは2010年に南北に分かれていた魚町銀天街が「魚町エコルーフ」で繋がった時、井筒屋さんと魚町銀天街で使える商品券を作ってみたい!とひらめいたのがきっかけです。結果とても売れて、当時の井筒屋の販売促進の方も「こんなに売れると思わなかった」と言っていました(笑)。現在は使えるお店もどんどん拡大し、人気事業として今も続いているのですが、あの時、井筒屋さんが快く協力してくれなかったら、実現してなかったと思います。

もうひとつ、先輩たちが残してくれたもので、しっかりと受け継いでいる行事があります。毎年1月10日に行っている「小倉十日ゑびす祭」です。昭和23年(1948年)に先輩たちが作ってくれたお祭りで、町の世話役や芸者姿の女性たちが商店街や商業施設などを練り歩き、商売繁盛の願いを込めて福を呼び込む縁起行事です。もう70数年続いていますが、会員同士の結束も図れますし、何より小倉の風物詩にもなりました。私の中では祇園太鼓と同じくらい大切にしている行事です」。

2025年1月10日に開催された「小倉十日ゑびす祭」の様子。商売繁盛の願いを込めて「商売繁盛、ヨイヨイヤー!」というかけ声で福を呼び込んでいただきました。

辻さん「大型店舗と商店街が地域のために一致団結して協力し合う、小倉中央商業連合会は、全国的に本当に珍しい商業団体と思います。思い出すのは、今から20年ほど前に井筒屋さんのクロスロードの前で大晦日に行った「一足お先に福袋」。井筒屋さんの場所をお借りし、商店街や市場が参加。賑わいを創出しました。船場広場でのさまざまな音楽イベント、紫川で貸ボートも浮かべました。小倉は紫川があり、親水性の高い町です。砂浜を作ったり、川沿いでイベントしたり。いい時代でした。1999年から2000年になる年の大晦日は、ミレニアムカウントダウンとして紫川で花火も打ち上げました」。

瀬口さん「カウントダウンは盛り上がったよね。でも、年越しの瞬間、紫川に飛び込む人が続出しちゃって。お酒を飲んでいるから勢いづいていて、一人飛び込んだら続くんですよ、寒いのに(笑)。いい時代でしたね。懐かしい思い出です」

・・・昔から、街を盛り上げるために力を合わせ、さまざまなことに挑戦されてきたんですね。そうした思いや取り組みを、次世代にどのように繋いでいこうとお考えですか?


辻さん「街の賑わいというのは、若者抜きでは考えられません。『小倉城竹あかり」では、大勢の高校生や大学生にも手伝ってもらっていますし、いろんなアイデアを出すのは若い人たちです。例えば、SDGsの理念から、飾り終えた竹の利用方法を話し合った時、若い人から『竹をパウダーにして食用にしよう』とか「竹とんぼなどのおもちゃに加工しよう」といった案が出ました。すると商店街や大人のメンバーからも『竹を作ったお線香を作ろう」というアイデアが出て、実際に作って販売すると、評判が良かったんですね。では『お茶屋さんでは何ができる?呉服屋さんはとどんな関わりがある?』という話になり、可能性はどんどん広がっていく。同じ目標に向かって、大人と若い人が関わり合い、一緒に汗を流すことが大事だと思います」。


瀬口さん「“よそ者・馬鹿者・若者”が揃うとうまくいくと言われています。よそ者というのは外部の人、馬鹿者というのは、馬鹿みたいに頑張る人、そして新しい発想ができる若者。この3者が揃った“小倉城竹あかり”事業は、本当にすごいなと感じます。

私が『次世代に繋ぐ』というテーマで思うのは、ちょっとキザな言い方をすると『まちづくりは人づくり』だということです。意識しているのは『これからの小倉を担う人を作る』ということ。この町を愛して、守っていきたいという意志を持った人を育て、次の世代に繋げていく。これは私たちの大事な仕事のひとつです。そのためには、机上ではなく、現場で一緒に汗をかくことが大事です。

例えば今後、事業を継続するにしても新規の事業を立ち上げるにしても、前年度と一緒じゃダメだと思うんです。若い人たちには反省しながら、新しい時代を開拓し、飛躍してほしい。もちろん、私も若い頃はそうやって鍛えられました。当時、青年会議所の先輩から『人生で一番のプレゼントは何かわかる?』と聞かれて、当時の私は答えられませんでした。正解は『チャンスをもらうこと』だったんです。その言葉が今でも記憶に残っています。若い人には失敗を恐れず、チャンスを貰えたときは、思いっきり挑戦してほしいですね」。

辻さん「北九州青年会議所での活動が、今振り返ると大きなきっかけだったと思います。瀬口さんと『所詮、僕たちは井の中の蛙だ。でも大海を知る井の中の蛙になろう』という話をいつもしています。つまり井戸というのは自分のお店や商店街という枠です。その枠を飛び出し、行政や大型店舗や諸企業そして全国や世界など、いろんな人たちと関係を築きながら、大海を知っている井の中の蛙でいたい。視野を広げよう、外に出ていこう。若い人たちにもそうあってほしいです」。

・・・近年はSDGsやサステナブルという言葉がすっかり浸透してきました。お2人はこの状況をどう捉えていますか?

瀬口さん「私は呉服屋で着物を扱っていますから、仕事が常にSDGsに取り組んでいるようなものです。着物は手入れをすれば長い間、着ることができます。手縫いなので生地を解いたら再利用もできます。ご存じだと思いますが、古い着物を使ったリメイク作品などもよく作られています。
個人的な話になりますが、私は絶対に食べ残しをしません。これは親の躾が厳しかったお陰です。うちは3世代続くお店ですから、戦争を経験している祖父母と一緒に生活する中で、『食べられることの喜び』というのは常に教えてもらっていました。だから自分の中にあるキーワードは『もったいない』。物を大切にする気持ちを大切にしています」。

辻さん「小倉城竹あかりは、尼介者の竹を有益なものに変えていくという活動そのものがSDGsです。放置竹林、竹害の現状を市民の皆さまに認知いただくとともに、伐採した竹を街づくりに商品づくりの有効活用することで、北九州市独自の「循環型社会」のモデルケースの構築を目指していきます。小倉の街づくりも、今この町にあるものを大いに利用していけば良いと思うんですよ。路地裏の面白さとや、紫川の有効利用とか。小倉城も、福岡県に唯一の天守閣ですし、観光客が集まる場所です。将来に大きな負の遺産を残さないよう、今ある街の魅力を掘り起こしながら、街づくりに利活用していく。 “サステナブル”というキーワードは常に意識していますね。
そして私はお茶屋ですから、以前から普段捨てている”茶殻”をなんとかできないかという思いがありました。そこで八幡東区の醤油さんと「お茶ポン」というポン酢を開発したんです。カテキンがたっぷり含まれた茶殻に「お茶ポン」をかけて食べると、とても美味しくなるんですよ。こうしたSDGsな商品開発は、これからも取り組んでいきたいです」。

瀬口さん「さっきお話しした“人づくり”もSDGsじゃないかな。時代が変わっても、その都度、人の思いを繋いでいく。物や時代は変わっていくけど、人の思いは次世代に繋いでいけますからね」。

所属団体、活動内容は違っても、お二人が「小倉の街に賑わいを」という共通の思いで繋がり、街のためにご尽力いただいております。井筒屋も引き続き、小倉の街を盛り上げていけるよう、地域の皆さまと共に手を携え、歩んでいきたいと思います。大変貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


【サステナブルピープルVol.5】
無添加石けんを広めることが、持続可能な世の中に向けて
貢献できることになる〜
シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人さん

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